冷戦時代の壁によって東と西に街が分断されていたベルリンでは、東西統一後に不要となったベルリンの壁周辺の広大な跡地にいくつもの巨大建設プロジェクトが計画されました。現在のベルリン中央駅もその1つで、このプロジェクトによって分断されていたベルリンの鉄道網をつなげることはもちろん、様々なかたちで東西統一あるいは新たなベルリンとしての意味合いが込められています。そこで今回は、ベルリン中央駅の建設に至るまでの経緯や駅舎デザインについて見ていきましょう。
ベルリンがまだ1つの都市として機能していた戦前は、他のヨーロッパの大都市と同様に複数のターミナル駅がベルリンにも存在しました。しかしその後、ベルリンの鉄道網の機能が壁の建設とともに失われ、多くのターミナル駅や路線は廃止されていきました。そうした状態が何十年と続く中で、街の鉄道インフラも完全に2つに分断されていきました。東西統一後、ようやく街の鉄道網の整備が始まり、それと同時に欧州最大規模の中央駅のプロジェクトも計画されました。
広大な敷地が求められたこの巨大プロジェクトにおいて選ばれた場所は、戦後しばらくまでターミナル駅としてあったレアター駅でした。レアター駅は丁度ベルリンの壁のすぐそばにあったことから、周辺敷地や建物は有休化し、巨大な中央駅を建設するのに十分な敷地が確保できたのでした。
この時に、ベルリンの壁が生み出した空地を使って、古くから計画があった街の南北を貫く長距離線も地下に建設されました。これによって、ベルリンには街の東西そして南北に長距離線が通り抜けることになりました。これは他のヨーロッパの大都市にはない鉄道網のかたちでした。そして、中央駅がそうした鉄道網の心臓としての位置付けになっていきました。
2006年にようやく開通したベルリン中央駅ですが、この建物でまず特徴的なのがガラス張りの外観でしょう。また、内部に入っても非常に大きな空間が広がる開けた駅舎となっています。16あるホームは東西と南北方面に分かれて地上と地下で立体的に交差しており、開けた駅舎はどこにいても高架ホームと地下ホームを見ることができ、利用者にとって行き先が分かりやすい構成となっています。
新しいベルリン中央駅は、何十年にも渡る分断により、機能が絶たれていた街の鉄道インフラを再整備・構築することはもちろん、東西統一を象徴する街のシンボルとしても役割も果たしています。2つの建物を高架ホームが貫く形でつなげているデザインはまさにそれを形でそのまま表していますし、ガラス張りの開放的な内部は、現代ドイツの透明性のある社会を映し出しています。
さらには、高架ホームのガラス張りの屋根の上にはソーラーパネルが設置されており、ドイツの環境対策を積極的に推し進める一面も垣間見ることができます。電車を利用する際は中央駅で下車してみて、こうしたベルリン中央駅の側面をちょっとでも味わってみてはいかがでしょうか。
ベルリンの建築についてはこちらの記事でも紹介しています。
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