秋といえば何を思い浮かべるでしょうか。ベルリンでは美術や音楽がとても盛んなので、私は文化の秋を思い浮かべます。ただ普段は美術や音楽ばかりに注目してしまいがち。よくよく考えるとベルリンには多くの素晴らしい建物があります。実は建築都市とも言えるベルリン。今回はそんなベルリンの重要な建物を紹介したいと思います。
ベルリン郊外にはスタジアムがあります。それはサッカーチームであるヘルタ・ベルリンが拠点に使い、サッカーの試合などが開催されるオリンピックスタジアム。郊外ということもあり周辺には森が広がる閑静な場所です。そんな街外れのスタジアムに近付くと、巨大な建物に気付くでしょう。森の中に突き出るような建物。それは多くの人が住む集合住宅です。
長さ157メートルとカメラのフレームに収まらない大きさ。高さも53メートルあり、17階建ての建物には530人も住むことが出来るそうです。とはいえ、日本にもありそうな建物に見えるかもしれません。それほどの美しくないように思えます。なぜ、この建物がとても重要なのでしょうか。その答えは都市での建物のありかたを追求して建てられたことにあります。
この集合住宅は「ユニテ・ダビタシオン」と呼ばれ、建築界の巨匠ル・コルビュジエによって建てられたもの。彼は新しい都市のイメージを持っていました。その一つが街を垂直に作るということ。こうした考えを形とした「ユニテ・ダビタシオン」はヨーロッパ各地に建てられ、ここベルリンにも1957年に建てられました。
この建物の特徴は一つの街のようになっていること。例えば、建物へ店やホテル、保育園などが組み込まれており、屋上にはプールやジョギングトラックさえあります(残念ながら、ベルリンは住居専用)。その他にも1人用から4人用と世帯に応じた大きさの住居が用意されており、住む人を選びません。そして建物の「階」を、ここでは「通り」と読んでいるところからも、一つの街といった感じが表れています。
こうした都市の理想を追求する建物ですが、その中心的な考えには機能性があります。無駄の無い作りに非常にシンプルな外観。館内では白い壁と扉が延々と続きます。あまりに同じ風景が続くため、方向感覚を失いそうになるほど。無駄を徹底的に減らしてしまうと、ここまで強烈な空間が出来るのかと驚かされます。人によっては美しさを感じるかもしれませんし、非人間的と感じるかもしれません。
現代では人々が都市に集まり、そこでの生活も変わってきました。「ユニテ・ダビタシオン」は、このような変化に応えて、都市の新しい姿を提案しています。60年経った今でも、その考えは古くなることはありません。そして今なお都市とは一体何なのかを考えさせてくれるでしょう。もしベルリンで建築を見たいのであれば、是非訪れてほしい場所です。 Unité d'Habitation type Berlin /Corbusierhaus(ユニテ・ダビタシオン/コルビジェハウス) 住所: Flatowallee 16 14055 Berlin 最寄り駅: Sバーン Olympiastadion駅(S5、S75)
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